礼文島の桃岩荘には、名物の「お見送り」があります。
宿を出る人を、残っている人たちが全身全霊で踊って送り出す——そういう時間です。話には聞いていましたが、実際に見ると、言葉を失いました。
この記事は、2017年7月に私が見た桃岩荘のお見送りの記録です🥰
その前に——トンネルの話
桃岩荘へ向かう車の中で、ヘルパーさんが言いました😌
「トンネルを抜けたら桃岩時間。恥も外聞も、全て現世に置いていってください」
はて、なんのこと? と思いながら、ドキドキしてトンネルを抜けました。桃岩荘では、日本の標準時より30分早い「桃岩時間」が流れていて、滞在中はその時間で過ごすのがルールなのだそうです。
あとから思えば、あのトンネルが入口だったのですね。異世界に入るための。
そして出口が、このお見送りでした🥰
🏠 桃岩荘そのもののことは、こちらに書きました
「やばい」「気持ち悪い」「宗教」と言われる宿に、70代のひとり旅で3泊した記録です。夜のミーティングの実際も、正直に書いています。
朝、宿の前で
7月9日の朝7時すぎ。その日に島を出る方たちを見送るため、宿の玄関前にみんなが集まりました。

滞在中の私たちと、ヘルパーさん。掛け声をかけながら、みんなで踊ります。ギターを持った方もいました。

みんなが両手を高く上げて、声をそろえています。写真を見返しても、手を抜いている人がひとりもいません。
朝の7時です。ついさっきまで同じ屋根の下で眠っていた人たちが、こうして送り出してくれる。
私は見送る側でした。3泊したので、先に帰る方を送り出す番になったのです。
港へ。船が出るとき
宿を出たあとは、みんなで港へ移動します。香深港のフェリーターミナル。出航の時刻が近づくと、また同じように、掛け声をかけながら踊りがはじまりました。


朝8時39分。写真にはフェリーの船体と、船に向かって両手を上げている人たちが写っています。
それが、本当に一生懸命なのです。
「全身全霊で踊る」という言葉がありますが、あれはこのことだと思いました。手を抜いている人が、ひとりもいない。
一生懸命だから、見ているこちらもジーンとなる。船の姿が見えなくなるまで、それは続きました。
翌朝は、私が見送られる番——そして、20年前に娘も
私が桃岩荘を立ったのは、その翌朝でした。
今度は、私が見送られる番です。宿の前で、昨日いっしょに踊った人たちが、同じように手を上げて送り出してくれました🥰
歌のような、掛け声のような。なんとも楽しくなる歌と踊りで、一生懸命にお見送りしていただきました☺️ 一生懸命だから、見ているこちらもジーンとなる。
じつは、私の娘も約20年前に桃岩荘に泊まっています。娘は船の上から、あのお見送りを受けたのだそうです。
「夢のような、異世界のような空間で過ごして、トンネルを越えて現世に戻ってきたけれど、あの宿での出来事は全部本当だったんだって、船の上で踊りを見ながら思った」
娘は、そう言っていました。
その話を聞いてから、ずっと、ずーっと、いつか私も行きたいなと思っていたのです☺️
娘が泊まったのは、私の11年前。いまから数えれば、もう20年ほど前になります。
それでも、同じことが続いていました。踊りも、掛け声も、一生懸命さも☺️
ようやく叶ったんだなあ、と。帰りの船で、そう思ったことを、いまでも鮮明に覚えています。
これから行かれる方へ
🚢 お見送りについて
・行われる場所は香深港のフェリーターミナルです。桃岩荘に泊まっていない方でも、港にいれば見ることができます。
・宿が営業している時期(おおむね6月〜9月末)に、島を出る便に合わせて行われるそうです。
・宿の前での見送りは、宿泊している方が参加する時間です。
・時刻は船のダイヤによります。最新の運航状況は、ハートランドフェリーの公式サイトでご確認ください。
※2017年7月に私が見たときの様子です。運営や内容は変わることがありますので、最新は桃岩荘へお問い合わせください。
もし礼文島を出る日の朝に港にいらしたら、少しだけ早めに行ってみてください。
見送られるのも、見送るのも、どちらもいいものでした。
📚 礼文島・利尻島ひとり旅シリーズ(全9本)
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🏠 桃岩荘は「やばい」のか?|70代がユースホステルに3泊した正直な感想(礼文島・利尻島②)
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