愛とロマンの8時間コースを70代が完歩|スコトン岬から歩いた12時間(礼文島・利尻島③)

北海道の島

※この旅は、離島旅をはじめたばかりの60代後半のころのお話です。(いまは70代、まだまだ島を歩いています😊)

※2017年7月の体験です。コースの起点や道の状況は変わりますので、最新は礼文町の公式情報でご確認ください。

礼文島に、変わった名前の道があります。「愛とロマンの8時間コース」

島の北の端・スコトン岬から、西の海岸線をひたすら南へ歩く、名物宿・桃岩荘ユースホステルに代々伝わる伝説の道です。

私が歩いたのは、60代の終わりのころ。ご一緒したのは、岡山から会社の研修で来ていた20代から40代の男性5人。そこに高齢者の女がひとり混ざって、総勢6人のパーティーでした。

朝7時にスコトン岬を出発して、桃岩荘に帰り着いたのは夜の7時。「8時間コース」という名前ですが、私たちは12時間かかりました。

「愛とロマンの8時間コース」って?

礼文島スコトン岬の案内看板。背後に利尻礼文サロベツ国立公園の海が広がる
スコトン岬の案内看板。ここから長い一日が始まりました
道のり スコトン岬→ゴロタ岬→澄海岬→浜中→宇遠内→香深側へ。島の西海岸をほぼ縦断します
名前の由来 桃岩荘ユースホステルの名物コース。みんなで助け合って歩くうちに、愛とロマンが生まれる——のだそうです😊
私の実測 朝7時スコトン岬発→夜7時桃岩荘着。12時間(高齢者ひとり込みの6人パーティーで)
難しさ 健脚向け。道がわかりにくい場所、砂の斜面、長い林道があります。現在は起点が短縮されているようです【要確認】

朝4時40分起床。お弁当を持って出発

「スコトン岬2.5km・ゴロタ岬0.6km」を示す木の道標と、霧に包まれた草原
道標。スコトン岬から2.5km歩いてきて、ゴロタ岬まであと0.6km

桃岩荘の朝は早い。4時40分に起きて、4時50分に食堂へ。玄関でお弁当を受け取って出発です。

香深からバスに乗って、終点のスコトン岬へ(当時1,220円)。朝7時、最北端から歩きはじめました。

顔ぶれは、岡山から研修で来た男性5人と、私。全員がこのコースは初めてでした。40代の男性は登山に慣れているようで、いちばん後ろを歩いてくれます。私はリーダーのすぐ後ろ。高齢者ひとりの参加でしたが、若い男性たちは、それはもう優しかったです☺️

ゴロタ岬から澄海岬へ——前半は、ごほうびの道

霧の中に立つ「ゴロタ岬」の標柱
霧の中のゴロタ岬
「澄海岬(トイレ)まで1.5km」を示す木の道標
澄海岬(トイレ)まで1.5kmの道標。トイレの案内が本当にありがたい
断崖の上から見下ろす、礼文島西海岸の岩礁と海
断崖から見下ろす西海岸。霧でもこの絶景でした

左手にずっと海。人より牛が多いような草の丘を越えて、ゴロタ岬へ。登り切った尾根道の気持ちよさといったら。私のノートには「気持ちいい」とだけ書いてあります。よほどだったのでしょう😊

澄海岬の標柱の前に立つ、赤いレインウェア姿の著者
澄海岬にて。赤いカッパが私です

鉄府の集落を抜けて、澄海岬(すかいみさき)。名前のとおり、澄んだ海の色をした入り江です。

浜中——「バスで帰ることもできますよ。どうしますか?」

「浜中バス停」と「澄海岬」への分岐を示す道標
浜中バス停と澄海岬の分岐。「海側がトイレです」の表示つき

浜中のバス停の近くで、声をかけられました。

「ここからバスに乗って帰ることもできます。どうしますか?」

ここが分かれ道です。この先へ進めば、もう後戻りはできません。

私は答えました。「これのために来たのだから、前進あるのみ」

後半——道を探しながら、助け合って進む

ここからが本番でした。全員が初めてのコースですから、道がわからなくなることもあります。そのたびに、登山に慣れた40代の男性が先に行って、道を確かめてくれました。

宇遠内(ウエンナイ)休憩所の窓に貼られた「8時間コース」の案内と飲み物メニュー
宇遠内(ウエンナイ)の休憩所。飲み物も買えます

召国(めしくに)の分岐は、間違えやすい場所。看板をよく確認して進みます。ロープの張られた場所、砂すべりの斜面、階段。後半は、なかなか足にこたえます。

霧に煙る、宇遠内付近の岩場と礫(れき)の海岸
宇遠内付近の海岸。岩と礫の道が続きます
笹やぶの山道で記念撮影する6人のパーティー(著者を含む)
笹やぶの道で、仲間になった6人と

海辺の集落・宇遠内(うえんない)を過ぎ、長い林道へ。この林道が、正直いちばん長く感じました。景色の変わらない道は、足より心にこたえます。

夕方、車道に出ました。でも、乗りません

夕方、ようやく車の入れる道路に出ました。

ここには、「もう無理」となった人のための迎えの車が来てくれます。ありがたい仕組みです。でも——車に乗ってしまったら、8時間コースを踏破したことにはならないのです😢

絶対に、乗りたくない。もし足が痛くなっても、這ってでも桃岩荘に戻りたい😂そう思いながら、最後の道を歩きました。

夜7時、桃岩荘に到着。そして——

夕暮れに浮かぶ「桃岩荘 入口」の木の看板
夜7時前、ようやく桃岩荘の入口看板が見えました

宿に帰り着いたのは、夜の7時。朝7時に出てから、まる12時間です😆なんとか、60代後半の私でもリタイヤすることなくやり遂げたのです!!

私という高齢者がいなければ、あの若者たちはもっと早く着いたでしょう。でも、このコースの目的は速さではありません。みんなでいかに助け合って踏破するか——それがこの道の名前の意味なのだと思います。

足手纏いだった私が言うのもなんですが、途中から本当に連帯感が生まれます、後半はだんだん口数が少なくなります、それでも辛そうな表情をする人がいれば「そろそろ、休憩入れる?」「よし、ここまで 行ったら、少し休憩しよう、みんな平気?」などの周りを気遣う言葉が飛び交うのです☺️

私自身も周りの方の気遣い、優しさがあったからこそ「愛と浪漫の8時間コース」を完走できたのだと思っています。宿に着いた時の達成感とやり遂げた仲間たちと過ごした時間は今でも思い出しては誇らしい気持ちになります😊

桃岩荘の館内で記念撮影する著者と同行の男性
桃岩荘にて。一緒に歩いてくれた彼と

その夜のミーティングで、私たちのグループは踏破記念でみんなの前に呼ばれ、お祝いをしてもらいました。くたくたの足で受けた拍手を、私は今でも覚えています😊

「愛とロマン」は、本当に生まれるのか

若い男女が歩けば、本当に愛が生まれても不思議ではありません。

でも私たちの場合は——と言いますか、もっと次元の高い愛とロマンが生まれた12時間でした😊

年齢も住む場所も違う6人が、一日じゅう助け合って歩き通した。あの日の連帯感は、恋愛よりずっと大きなものだった気がします!!

これから歩く方へ(2026年版)

起点——私が歩いたころはスコトン岬からでしたが、現在は浜中バス停付近からに短縮されているようです。ずいぶん楽になったはず。最新の情報をご確認ください。

熊は?——礼文島にヒグマは住んでいません。2018年に一度、海を泳いで渡ってきた例が話題になったようですが。

トイレと補給——コース上にはほとんどありません。私が歩いたスコトン岬スタートのコースだと、トイレがあるのは次の場所くらいです。見かけたら、必ず済ませておくのが安心です。

  • スコトン岬(起点)…トイレ・売店あり
  • 浜中…トイレ・売店・自動販売機あり(補給もできます)
  • 西上泊(澄海岬)…トイレ・売店あり
  • 宇遠内(うえんない)…トイレ・水場・休憩所あり
  • レブンウスユキソウ群生地…トイレあり

反対に、ゴロタ岬や鉄府など海沿いの区間と、宇遠内から先の礼文林道は長くトイレがありません。水と食べものは持って歩きましょう。

そして装備——長そで、長ズボン、帽子、カッパ、歩きなれた靴。宿で出会ったベテランさんいわく「8時間コースは9月がいい」。涼しさを取るなら秋口だそうです。

おわりに

くたくたの足で見上げた夜の空と、迎えてくれた「おかえりなさい」の声。

「もう無理」と思ったときに、前を歩く人が振り返って待っていてくれる。そんな一日を、この年になって経験できるとは思いませんでした。

歩き切った人にだけ、わかる味があります。——9月の涼しい日にでも、いかがですか😊

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