桃岩荘のお見送り|礼文島を出る日、港で全身全霊で踊ってくれる人たち(礼文島・利尻島⑨)

桃岩荘のお見送り 礼文島を出る日、港で全身全霊で踊ってくれる人たち 北海道の島

礼文島の桃岩荘には、名物の「お見送り」があります。

宿を出る人を、残っている人たちが全身全霊で踊って送り出す——そういう時間です。話には聞いていましたが、実際に見ると、言葉を失いました。

この記事は、2017年7月に私が見た桃岩荘のお見送りの記録です🥰

その前に——トンネルの話

桃岩荘へ向かう車の中で、ヘルパーさんが言いました😌

「トンネルを抜けたら桃岩時間。恥も外聞も、全て現世に置いていってください」

はて、なんのこと? と思いながら、ドキドキしてトンネルを抜けました。桃岩荘では、日本の標準時より30分早い「桃岩時間」が流れていて、滞在中はその時間で過ごすのがルールなのだそうです。

あとから思えば、あのトンネルが入口だったのですね。異世界に入るための。

そして出口が、このお見送りでした🥰

🏠 桃岩荘そのもののことは、こちらに書きました

「やばい」「気持ち悪い」「宗教」と言われる宿に、70代のひとり旅で3泊した記録です。夜のミーティングの実際も、正直に書いています。

▶ 桃岩荘は「やばい」のか?|70代がユースホステルに3泊した正直な感想(礼文島・利尻島②)

朝、宿の前で

7月9日の朝7時すぎ。その日に島を出る方たちを見送るため、宿の玄関前にみんなが集まりました。

礼文島の桃岩荘の玄関前に、宿泊者とヘルパーが集まっている朝の様子
その日に島を出る方を見送るため、朝、宿の前にみんなが集まります。

滞在中の私たちと、ヘルパーさん。掛け声をかけながら、みんなで踊ります。ギターを持った方もいました。

桃岩荘の看板の前で、宿泊者とヘルパーが両手を高く上げて踊っている
「桃岩荘」の看板の前で。全員が両手を上げて、声をそろえます。

みんなが両手を高く上げて、声をそろえています。写真を見返しても、手を抜いている人がひとりもいません。

朝の7時です。ついさっきまで同じ屋根の下で眠っていた人たちが、こうして送り出してくれる。

私は見送る側でした。3泊したので、先に帰る方を送り出す番になったのです。

港へ。船が出るとき

宿を出たあとは、みんなで港へ移動します。香深港のフェリーターミナル。出航の時刻が近づくと、また同じように、掛け声をかけながら踊りがはじまりました。

礼文島の香深港フェリーターミナルで、桃岩荘の人たちが船に向かって両手を上げている
場所を港に移して、もう一度。香深港のフェリーターミナルです。
香深港でフェリーの船体に向かって両手を上げて見送る人たちと、デッキから見ている乗客
船が出ます。デッキから見ている方と、岸から送る人と。船が見えなくなるまで続きます。

朝8時39分。写真にはフェリーの船体と、船に向かって両手を上げている人たちが写っています。

それが、本当に一生懸命なのです。

「全身全霊で踊る」という言葉がありますが、あれはこのことだと思いました。手を抜いている人が、ひとりもいない。

一生懸命だから、見ているこちらもジーンとなる。船の姿が見えなくなるまで、それは続きました。

翌朝は、私が見送られる番——そして、20年前に娘も

私が桃岩荘を立ったのは、その翌朝でした。

今度は、私が見送られる番です。宿の前で、昨日いっしょに踊った人たちが、同じように手を上げて送り出してくれました🥰

歌のような、掛け声のような。なんとも楽しくなる歌と踊りで、一生懸命にお見送りしていただきました☺️ 一生懸命だから、見ているこちらもジーンとなる。


じつは、私の娘も約20年前に桃岩荘に泊まっています。娘は船の上から、あのお見送りを受けたのだそうです。

「夢のような、異世界のような空間で過ごして、トンネルを越えて現世に戻ってきたけれど、あの宿での出来事は全部本当だったんだって、船の上で踊りを見ながら思った」

娘は、そう言っていました。

その話を聞いてから、ずっと、ずーっと、いつか私も行きたいなと思っていたのです☺️

娘が泊まったのは、私の11年前。いまから数えれば、もう20年ほど前になります。

それでも、同じことが続いていました。踊りも、掛け声も、一生懸命さも☺️

ようやく叶ったんだなあ、と。帰りの船で、そう思ったことを、いまでも鮮明に覚えています。

これから行かれる方へ

🚢 お見送りについて

・行われる場所は香深港のフェリーターミナルです。桃岩荘に泊まっていない方でも、港にいれば見ることができます。

・宿が営業している時期(おおむね6月〜9月末)に、島を出る便に合わせて行われるそうです。

・宿の前での見送りは、宿泊している方が参加する時間です。

・時刻は船のダイヤによります。最新の運航状況は、ハートランドフェリーの公式サイトでご確認ください。

※2017年7月に私が見たときの様子です。運営や内容は変わることがありますので、最新は桃岩荘へお問い合わせください。

もし礼文島を出る日の朝に港にいらしたら、少しだけ早めに行ってみてください。

見送られるのも、見送るのも、どちらもいいものでした。

コメント

タイトルとURLをコピーしました